プリンス・プリンセス9

ただ軽い気持ちで読んでいると最後のシーンでショックを受けると思いますので、何を言われても驚かない心構えで読むと良いかもしれません。それでいて随所に散りばめられたギャグが雰囲気を和らげます。元ネタはあまり知らなかったのですが、作品の冒頭のページで設定が書かれてあるのでわからないなーという人でも楽しめると思います。その昔、おもちゃ屋さんにアニメロボットのプラモデルを買いに行っていた頃、いつも商品陳列棚で異色のオーラを放っていたロボットのパッケージ。

二人が結ばれて幸せでと言う結末が好きな人には、決して向かない。前書きと後書きに質問系、全体的にゆるい感じのコメントなど、廃れてしまった文化がぎっしり詰まっていて懐かしくなりました。笑わせていただきました。販売されてから年数が経過していることもあり、どこか温かな懐かしさを感じる絵柄にクスッと笑えるギャグ本です。

他のキャラを含めて原作の雰囲気、キャラクターをよく表現できている秀作ではないでしょうか。それではなぜこの作品を購入したかというと、鬱デレという響きに純粋に興味を持ったからです。言うならば、綺麗なシリアスです。オチがいい。画質も公開版より綺麗で読んでいて快適ですし、ボリュームもたっぷりで大満足です。絵のクオリティが高く、女の子がとてもかわいかったです。

この作品の中では意思の弱い中毒患者は搾取される側の存在でしかないと断じており、自分自身がそちら側であるという事を強く主張し、自戒されているのではないかという想像が膨らんでしまいます。このサークルさんの作品全般に当てはまることですが、展開も作風も原作を尊重していながら、そっと？いぢっています。まずはサンプルを見て、気に入れば買いですね。美麗なCGではないけれども、あたたかな、不思議な魅力が伝わってきます。当時からのファンなら是非買いたい作品。