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欠落少女

欠落少女

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欠落少女ってどんな作品?

「先輩、おはようございます!今日もお弁当作ってきました!」昼休みになると現れる後輩女子。何度断っても彼女は毎日やってくる。最初は悪い気がしなかった。しかし徐々に、彼女から異質な部分が見え隠れし始める。 ヤンデレ、サイコパスを題材にした小説です。一人称視点。11448文字。txtファイルと表紙の画像1枚が入っています。 1.「あの子、また来てるぞ」友人の耳打ちに、教室の戸口を見やる。二つ年下の後輩が手を振っていた。すぐに席を立ち、廊下に出るように手で合図する。しかし、彼女は俺の合図を無視するように元気な声をあげた。「先輩、おはようございます!今日もお弁当作ってきました!」教室の視線が一斉に集まる。からかうような笑い声を無視し、彼女を廊下に押し出した。「宮坂、やめてくれ」「お腹減っていないんですか?」彼女――宮坂瑠衣(みやさかるい)が小首を傾げる。わざとらしい仕草なのに、彼女がすると様になった。「そうじゃない。昼飯は自分で用意してる。好意は嬉しいが、困るんだ。昨日も言っただろう?」「でも、先輩が用意してるのってパンですよね?コンビニの菓子パンじゃ健康に悪いですよ?」にこにこと言い放つ宮坂に言葉を失う。「……どうして知っている?」「たまたまですよ。朝、コンビニに入っていくところを偶然見かけたんです」宮坂は悪びれる様子を見せず、そうだ、と言葉を続けた。「じゃあ一緒に食べませんか?先輩のパンと私のオカズを交換したりして」「……友達と食う予定なんだ。他を当たってくれ」会話を打ち切り、踵を返す。もう話すつもりはないという意思表示のつもりだった。「また明日も作ってきます!もしお腹が減ってたら受け取ってください!」背後から宮坂の明るい声。聞こえなかった振りをして席に戻る。何を言っても無駄だろうと思った。「モテ期到来だな」既に弁当を広げている友人たちが囃し立てるように目を向けてくる。「可愛い子じゃん。試しに付き合ってみれば良いのに」「……あいつ、どこかおかしいんだ」パンの包装を破き、齧るながら愚痴を零す。「おかしいってお前、素直なだけだろ。変な駆け引きする子よりよっぽど良いよ」「そうそう。あれだけ積極的に来られたら悪い気はしないよな」友人たちが好き勝手に盛り上がる。「……朝、俺がコンビニに寄ったのを知ってた。気持ち悪くないか?」友人たちが顔を見合わせ、わざとらしく噴き出す。「たまたまだろ」「自意識過剰だな」友人たちの言葉を聞き流しながら、俺は残りのパンを口に放り投げた。気のせいじゃないはずだ。最近の宮坂は様子がおかしい。宮坂と出会ったのは半年ほど前だった。貧血で動けなくなっていた宮坂を見つけ、保健室に運んだ。それから少しだけ話し相手をした。出会いは本当にそれだけだった。それから宮坂は校内で俺を見かけると話しかけてくるようになった。宮坂は容姿が良い。慕われて悪い気はしなかった。暫くは何も問題なかった。俺たちはただの先輩と後輩だった。宮坂の様子がおかしくなったのは三日前からだった。その日は進路相談で帰りが遅れ、同じように残っていた同じクラスの葛葉美紀(くずはみき)と昇降口で出会った。「葛葉も進路指導か?」「うん。資料とかお願いしてて」それほど親しくもない女子だったが、その場の流れで一緒に駅に向かう事になった。「もう十七時半か」「予想より長かったよね。先生が熱心なのは良いんだけど」歩きながら話しているうちに、思いほのか会話が弾んだ。明日から一緒に帰ろうか、なんて冗談も言われた。宮坂が現れたのはそんな時だった。「先輩、偶然ですね」後ろから声をかけてきた宮坂は、どこか普段と違った雰囲気を纏っていた。「なんだ。宮坂も何か用事で残っていたのか?」「ええ、まあ。そんなところです」曖昧な笑みを浮かべ、誤魔化すような返答。俺が何か言おうとすると、宮坂が遮った。「それより先輩方は駅に向かうところですか?ついでにご一緒しても?」宮坂の目が葛葉に向けられる。「それとも、やっぱりお邪魔ですかね?」「え?あの、私は別に構わないけど……」たじろぐ葛葉に宮坂が笑みを浮かべる。「良かったです。最近彼氏さんと別れたそうなので、先輩のこと狙ってるのかと思ってました」空気が凍った。宮坂の言葉を呑みこむのに時間が必要だった。「……おい、変なこと言うな。失礼だろ」「あ、ごめんなさい。私、思ったことがすぐ出ちゃって」悪いと思ってなさそうな軽い口ぶり。「いえ、気にしてないけど」葛葉が顔を引き攣らせて笑みを作ろうとする。「別れたのは本当だし、良く知っているのね」「ええ。うちの学年でしたし」沈黙が落ちた。葛葉も宮坂もそれ以上は口を開こうとはしなかった。徒歩十分もかからない駅が急に遠く感じる。俺はわざとらしく咳をし、沈黙を破った。「もう少しで急行が来るし急ごう」「そうですね」歩く速度をあげる。気まずい空気を払拭しようと話題を探すが、三人の共通の話が見つからない。「先輩たちは」不意に宮坂が口を開く。「同じクラスですよね。よく話されるんですか?」「……いや、普段はあまり。今日は偶然だよ」「そうですか」自分から聞いてきたのに、宮坂は興味なさそうな様子を見せた。普段の宮坂と違う。どこか鋭く冷めた目をしていた。それっきり会話らしい会話もなく、俺たちは駅に辿り着いた。葛葉は逆方向のホームに向かい、残された宮坂と二人きりになった。「……座るか」「はい」空いている椅子に腰を下ろす。電光掲示板に目を向けると、次の電車が来るまで三分あった。どう間を持たせようか考えていると、意外にもそれまで黙っていた宮坂が口を開いた。「男子と女子が見てる世界って結構違うんですね」「……どういう意味だ?」「女子の方が耳が良いっていうことです」何かを含むように宮坂が笑う。いつの間にか、いつもの宮坂に戻っていた。「先輩は人を見る目がないですね。いつか悪い人に騙されますよ」「……葛葉には悪い噂があるのか?」「大したものではないですよ。ただお付き合いはお勧めできませんね」そこで宮坂はわざとらしく溜め息をついた。ホームに電車が到着するアナウンスが流れる。「ほら、一方的に私の言葉をすぐ信じる。そういうところですよ」「……宮坂は悪いやつじゃないだろ」電車が近づいてくる音。突風で宮坂の髪が乱れた。髪を抑えながら宮坂が立ち上がり、ゆらりと笑う。「私、そこそこ悪い女ですよ」次の日から、宮坂は毎日弁当を作ってくるようになった。 ヤンデレ専門サークル「加圧されたマシュマロ」月島しいる(Twitter:https://twitter.com/tsukishima_seal )

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欠落少女の評価

欠落少女はこんな人におすすめ

  • ヤンデレが好きな人

欠落少女の感想とレビュー

  • 投稿者

    名無しさん

    シナリオが非常にすばらしい作品なので。原作にそういう描写があれば申し訳ないのですがイメージとは違ってて1番のギャグ要素でしたwまず何故このコラボにしたのかwwwwwそんなにかっこよく歌ってないのも、馬鹿っぽい内容に合致してプラスです。絵柄に惹かれて購入。

  • 投稿者

    名無しさん

    絵柄に惹かれて購入。作者さんが中に書かれている通り、登場作品全て合わせて雰囲気が素晴らしくて。これはいい買い物をしました。本編ではおっとりのんびりなが、軽くダークなキャラになっています。でも少女の方はそうじゃない。色々考えさせられる作品です。バトル描写もしっかりと描かれており、それでいてそこにギャグも交えるというなんとも見てて面白すぎる作品でしたわw

  • 投稿者

    名無しさん

    バトル描写もしっかりと描かれており、それでいてそこにギャグも交えるというなんとも見てて面白すぎる作品でしたわw「痒いところに手が届く」ように、「読者」の求める「ネタ」を全て網羅しているようです。すごく気になる作品となりました。サークルさんオリジナルのギャグ漫画です。キャラの心情がわかりやすいので『あぁ、なるほど』と納得できた作品でした。ギャグのクオリティは明らかに向上していますね。

  • 投稿者

    名無しさん

    ギャグのクオリティは明らかに向上していますね。絵の描き方としては、丸めの顔にキラキラした大き目の瞳などキャラクターの雰囲気を上手く捉えています。価格的にもちょうどよく試して見るのもありです。ボリュームが凄いので、コスパは最高に良いです。ほんのりと前向きな気持ちになれる作品、心から好きだ 他の人にも読んでもらいたい、と思える作品です。

  • 投稿者

    名無しさん

    ほんのりと前向きな気持ちになれる作品、心から好きだ 他の人にも読んでもらいたい、と思える作品です。が好きな人にはちょっと物足りないかもしれません。スルーしていたのマンガが存在していたこと自体で、この作品は間違いなく「買い」の部類でしょう!風の音が聞こえてきそうなラストシーン。てへっ♪ いやいや世の中平和ですな〜〜。同人誌なので通常の漫画のようなボリュームを確保できないのは分かりますが、残念でなりません。

  • 投稿者

    名無しさん

    同人誌なので通常の漫画のようなボリュームを確保できないのは分かりますが、残念でなりません。だからといって買わずに見過ごすにはモッタイナイ一冊であると個人的には思います。なかなか切ないお話です。でも気になって、読んでみた。四コマの方は本当に楽しくてもっと続いて欲しいな、って思いました。続きを心から楽しみに待っております。こんな話もあってもいいな、という感じで楽しんで読めました。

  • 投稿者

    名無しさん

    こんな話もあってもいいな、という感じで楽しんで読めました。そしてあとがき……!ほのぼの系のかわいい話なんですが2ページしか無いため、内容不足な感が否めません。マニアックでない、万人受けする萌え系絵柄でのが楽しめます。飛べるとこまで飛んでほしいものです。話は主人公の内面をメインに追っていき、ラストで大きな変化が起きる構成です。

  • 投稿者

    名無しさん

    話は主人公の内面をメインに追っていき、ラストで大きな変化が起きる構成です。良い作品をありがとうです!過去に原作もプレイしたのでノスタルジックな気分で読ませていただきました。恋愛感情としては片思い、相手の幸せを願う故の行動なのだろうという事が痛い程伝わって来た。笑い有り、涙有りな所も原作譲り。原作知らなくても充分笑えます。

  • 投稿者

    名無しさん

    原作知らなくても充分笑えます。

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欠落少女の作品情報

配信日
2021年10月5日
作者
月島しいる
販売価格
275円
ファイル
TEXT
サイズ
186.6KB
ジャンル
ノベル
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