すごく曖昧で残酷で見えないところ

原作のキャラ性を維持しつつもギャグに走り抜けることに全然不自然さを感じさせない所に作者の確かな力量を感じます。姫様をヒロインにしたボーイ・ミーツ・ガールの物語。物語が進むにつれ次第に表現方に変化してゆくのが見えます。ビール好きとギャンブル好きに堪らないあの話です。お互いがようやくスタートラインを迎えたといえるエンディングでした。英霊は誰かのシーンなんかはおもわず思わず顔がニヤニヤしてしまいます。

オンリーの私の「魂」に「ピン」ときた唯一の作品です。しかしそれでも評価が低くならないのは、作品そのものの価値のためだろう。「鬱」の一文字で距離を置いてしまいそうな方でもお勧めします。どちらも勢いがあり、とても笑えました。やわらかい語り加減が特徴の作品だと、どうしても文やコマを削り、キャラの動きが秩序だってしまい、わざとらしくなりがちだが、この作品は違う。

今回はギャグは少なめでシリアスな感じの話ですが、とても魅力的なストーリーと演出で引き込まれる作品でした。彼氏はただ愛情で応えることしかできない。……ちなみに私としては、ヒロインの可愛さだけで買う価値はあったと思いました（笑）。キャラの裏設定や作者さんが質問に答えていく「一問一答」のコーナーもあり、面白かったです。非常に「楽しい」作品です。本編のストーリーに絡めたネタも多いので、クリア後のお楽しみとして是非。

ギャグ漫画と誤解されてしまいそうな作風ではありますが、その本質は主人公のありがちなダメ人間っぷりに共感性を訴えかけさせた上で、主人公（自分）を反面教師にして欲しいという啓蒙的な側面があるように思えてなりません。続きが気になる作品です。大爆笑するような内容ではありませんが、くすりと笑えるところもちゃんとあるので、ただシリアスなだけの話ではないです。その辺のお話をコメディタッチの漫画で解説してくれる、です。