百万の283 3

他のキャラを含めて原作の雰囲気、キャラクターをよく表現できている秀作ではないでしょうか。カラミ等は一切ありません。110円の価値は十分、元が取れたと感じられます。血を見ると卒倒するのでいつもは事なきを得ているものの、今回は意識を取り戻した後に色っぽい悪女キャラに変貌。

こういったパロディ作品は元ネタが分からないと面白さも半減してしまうものですが、この作品なら元が有名なのでほぼ誰でも楽しむことができるはずです。本作はという心の闇を、上手くストーリーに織り込んでいるように思う。話が進むにつれ、主人公の異能っぷりがだんだんと目だってくる所も見逃せません。また鬱と銘打たれていますがその鬱という言葉の魅力に頼った漫画ではないことだけは確実に言えます。お互いがようやくスタートラインを迎えたといえるエンディングでした。

ギャグ漫画と誤解されてしまいそうな作風ではありますが、その本質は主人公のありがちなダメ人間っぷりに共感性を訴えかけさせた上で、主人公（自分）を反面教師にして欲しいという啓蒙的な側面があるように思えてなりません。シナリオが非常にすばらしい作品なので。しかしそこが彼の魅力。まんまと作品に取り込まれていった訳です。基本ギャグ多めの中に軽いエロ要素がある程度。タイトルやサンプル画像で惹かれるものがある方は購入して間違いないと思います。内容もいい感じですしチョイエロがまたいい味をつけているので私としてはオススメできるものです。

いつも通りこのサークルさんのスタイルで、萌えやお色気はほとんど感じず徹頭徹尾ギャグで読めます。一作目のテンポの速さと、作中での経過時間を考えると二人の関係の進展はややゆっくりに思えます。作家さんのセンスのよさがわかります。何かを差し置いてでも、とは言わないけれど、たまにはちょっと、エロ以外の違うところにお金を使ってみたいかなと思ったときなどに、実際に目にしてみたらどうかなあ、なんて思う。