Past

そんな中、彼女の方から彼氏に手を振ったり、彼女が所属する生物部の活動に誘ったりと、まさに青春まっさかりなシーンが続く。もう、どんだけが好きなんだよ！何かとお疲れの方に。何かを差し置いてでも、とは言わないけれど、たまにはちょっと、エロ以外の違うところにお金を使ってみたいかなと思ったときなどに、実際に目にしてみたらどうかなあ、なんて思う。内容的にはどちらもそれほど萌えやお色気が前面に出ておらず、読む人を選ばないなという印象でした。

少々ネタバレ的になりますが、サンプルにある、えっちなシーンというのは、少年誌に載せられるようなささやかなものですので、そういったものが苦手な方にも全く問題ないものです。マンガだけでなく、小説風な文章や4コママンガなどもあって飽きないようになっているのも良いですね。あの男が自爆を選択するまでに何があったのか、妄想全開でお楽しみください。次第に、そんな彼女の心のうちを何とか追いかけてみようと思うようになりました。

面白いのであっという間に読めてしまいます。相変わらずキャラが可愛くて、短編といえどストーリーの起承転結もしっかりしていて楽しめました。全体としては軽いノリで読みやすさ重視なのですが、それぞれのキャラの造型、掘り下げは深く、人情物としてうまくまとまっています。原作はもちろんですが、この同人誌も良い作品です。

キャラクターそれぞれの能力などが詳しく技術されていたり、一問一答（質問コーナー）があって、ストーリー外でもたのしめます。さあ、アナタはすべての元ネタが判るか——？　……って判らなくても笑えますけどね。でも気になって、読んでみた。昔懐かしののパロディギャグマンガとのことですね。独りではでも、彼氏となら大丈夫。また、まるで緩やかな長い坂を上り終えた様な読後感にこの作品の、誤解を恐れずに言うなら少し不快な、それでいて病みつきになるような魅力を感じました。