お兄ちゃんは誰だ！

これは是非とも多くの人々に読んでもらいたい作品です。（どっか編集部かゲーム会社行けば、すぐに売れちゃいそうとか思うのに……）作者のごくごく個人の主体性を前面にだしていますので、同人らしく趣味や（いい意味での）独りよがりが全開です。が満遍なく可愛い作品です。

同人作品なだけあって、読者に色々と考えさせる実験的な演出や、商業作品では出来ない斬新な試みがところどころ見られて、他作品と差別化された独創性溢れるとても魅力的な作品でした。でも個人的に読んだ感想としては「こんな逃げ道もあるんだなぁ……」といった印象ですね。こんな面白すぎるギャグバトル漫画があったとは……ネームの間が絶妙なまったり系の風味もあって、これも繰り返し読める再読性を高めてます。スピンオフなマンガ第一弾です。

全体的に好きな人にとってはとても気に入りやすい作品ではないかと思います。一作目のテンポの速さと、作中での経過時間を考えると二人の関係の進展はややゆっくりに思えます。おまけののためだけにでも買う価値はあります！上述のように解釈させていただきますと、作者様は執筆当時、自分を取り巻く環境や社会そのものに多大なストレスを覚えていたのかもしれませんね。

ツンデレなキャラは珍しく、新たな魅力を発見できるかもしれません。余計なことは言わずに命乞いをしろと告げる女の子に対して、キザなセリフを言ってなんとかしようと考える主人公が面白いですね。何かを差し置いてでも、とは言わないけれど、たまにはちょっと、エロ以外の違うところにお金を使ってみたいかなと思ったときなどに、実際に目にしてみたらどうかなあ、なんて思う。

この作品の中では意思の弱い中毒患者は搾取される側の存在でしかないと断じており、自分自身がそちら側であるという事を強く主張し、自戒されているのではないかという想像が膨らんでしまいます。過去の話と現在の葛藤が複雑に絡み合いながら少しずつ物語は進展していきます。