VANISHING HEARTS2

その「パロディ」、面白くない訳が無い。ヒロインが学園を征服しようと企み、いろんな策略を練ったりする話なんですが、その手段が微妙にセコくて終始ほのぼのとした展開。過去の話と現在の葛藤が複雑に絡み合いながら少しずつ物語は進展していきます。予想外の発言をしたことから、周囲は凍りついたかのような静けさが発生。

とにかくボリュームが多いです。が好きな人にはちょっと物足りないかもしれません。今回のヒロインは多重人格という設定で人格がコロコロと変わるのが面白いです。なんというか、全体的に「あたたかい」んですよね。なかなか切ないお話です。まず、特筆すべき点は、キャラクターたちの表情。

変な出会いになっていたせいか爆笑してしまいました。足元に咲く花も踏めないほど優しい性格の彼女が取る行動とは―――。メインは男主人公と女主人公で、比率的には女主人公の方が多めです。エロはないです。そして、全編ギャグなのでこのゲームが世代な人ももちろん、若い人まで楽しめると思います。これだけの熱量とセンスとキレを持った本はそうそうないです。

可愛らしく描かれたキャラ同士の生々しくも腹黒い駆け引きが、不気味なくらいリアルに迫ってくるものがあり、その描写に関しては感嘆を禁じ得ませんでした。建物や道などが丁寧に描かれており人物がそこにいるという印象を感じました。面白いのが、登場人物の名前がいっさい登場せず、目的や価値観だけを一人歩きさせて物語を展開する手法ですね。ギャグとファンタジーとバトルの融合って感じの漫画愛の言葉を聞いているうちに眠ってしまった女性の表情が綺麗だったので、印象に残りました。

前書き挨拶や、後書き挨拶もびっしり書き込まれており、古き良き時代の同人誌そのままのテイストが感じられました。横読みのスタイルが非常にあった作品だ。