花京院○明の憂鬱

お手本の模倣から脱して自身のスタイルを徐々に見つけていく過程の記録のような作品です。これがだいぶ前の絵だとは思えません！楽しそうな歌。独りではでも、彼氏となら大丈夫。読み終えた時に、癒される（ほっ……、はぁ……）という感じがじんわりと心に染み渡る。

最高のエンディングでも最悪のエンディングでもない、一つの節目。じっくりと読み込むことをおすすめします。今まであまり見せてくれなかったその力の片鱗を垣間見せてくれます！また、質問コーナーという形で、この作品の入れ込みが充分伝わってくるのも良かったです。少女は冷淡に振る舞うことで良心の呵責を打ち消そうとしますが、路傍の花に向けていた優しい眼差しを指摘されてますます決意が揺らぐことに。

可愛らしく描かれたキャラ同士の生々しくも腹黒い駆け引きが、不気味なくらいリアルに迫ってくるものがあり、その描写に関しては感嘆を禁じ得ませんでした。ひょっとしたら、彼氏に「依存」することで精神の安定を保っているのかもしれませんし、作外では懊悩しているのかもしれません。モモがプリケツっぽくツヤツヤしてるのも好き。そんなにかっこよく歌ってないのも、馬鹿っぽい内容に合致してプラスです。本編のストーリーに絡めたネタも多いので、クリア後のお楽しみとして是非。

ギャグ形式となっていて、萌え系からツンデレやクールなど様々な要素も含まれていますので、どなたでも楽しく読めます。特に、とか好きな人には絶対的にお勧め。登場キャラクターも有名所ばかりなので、元作品を詳しく知らなくても十分面白いと思いますし、同人誌初心者向けとしてもいいように感じます。面白いキャラが登場し、現地の言葉、当時の言葉を交えつつ解説・進行してくれるので、分かりやすく頭に入ってきました。

ストーリー的にはお約束でベタな展開なのですが、原作よりもかわいい感じなのが良かったです。