赤城提督の一年間日誌

本作はという心の闇を、上手くストーリーに織り込んでいるように思う。これはいい買い物をしました。まったりした気分になりたいときにオススメの作品です。二次創作の同人誌です。オチもクスリと笑えます。寡聞にして知らなかったのですが、鬱デレ……世界は広い。

サラサラの髪やメイド服のフリフリ感など、被写体の質感の描き分けに描き手の情熱を感じました。作者様はこれで終了ではないと書かれているので、いつかまた復活したら手に取って見ようと思いました。ギャグのオチごとに書かれた作者の一言コメントが味があって思わずほっこりしました。特に青い空の絵がものすごく綺麗で、少し泣いてしまいました。ギャグ形式となっていて、萌え系からツンデレやクールなど様々な要素も含まれていますので、どなたでも楽しく読めます。

あのネタをこんな風に持ってくるとは予想もしてませんでした。順番にこだわらず気になったものから買ってみて問題ないと思われます。また、まるで緩やかな長い坂を上り終えた様な読後感にこの作品の、誤解を恐れずに言うなら少し不快な、それでいて病みつきになるような魅力を感じました。でも、短いなりに良くまとまって、オチもウィットが効いてます。

ストーリーはさほど変わりませんが、書下ろしも多く入っております。やり込んだからこその弄る楽しさといいましょうか……「ああ、そうきたか」と思わずニヤリとしてしまう作品です。好み。気が向いたときに思い出したように見る程度でも楽しめる、お得な一品。コスパもいいので好きにおすすめ！のギャグ本で、シリアスな部分はほとんどありません。

今回のヒロインは多重人格という設定で人格がコロコロと変わるのが面白いです。良質な暇潰し用としておすすめの同人誌です。お互いがようやくスタートラインを迎えたといえるエンディングでした。