あの子は今も海のなか

だから淡白で後腐れなくサッパリして感じるのかも。医学的な異常は見つからなくても、身体は不調を訴え、身近な人にすら理解されなかったりしつつも、何とか外に出たり先に進もうとする主人公の必死な姿が描かれており、応援したくなります。ちょっと頼りない主人公の態度にもどかしく思いつつも応援したくなる不思議な魅力を持っている……かな。

これは是非とも多くの人々に読んでもらいたい作品です。カップルが題材となってはいますが、過度の描写はない一般向け作品ですので男女問わずおすすめできます。大満足です。その自然で豊かでキュートな表情が、ストーリーにメリハリを利かせ、読むものをぐいぐいと引き込んでくれる。単純に読んでいて面白い、そういう基本に忠実な作品を出せることは結局は作者の力量次第であるため、これほど素晴らしい作品に出会えたことに本当に嬉しい限りです。

元ネタ自体が懐かしいものなので、もしかしたら触れた事のない人もいるかもしれませんが、そんな人でも問題なく楽しめる作品になっています。原作ゲームをプレイ済みの方なら間違いなく爆笑するとても質の高い本です。原作を知っている方には特にお勧めできます。じつに感動できます。9割程度が漫画となっており、ボリュームもあります。どのキャラに傾倒するかは読者の自由ってね。ですが、原作を知らなくとも楽しめました。

言うならば、綺麗なシリアスです。カラミ等は一切ありません。内容は短いものの、補足というか説明がしっかりあるので、細かくストーリーや物語の背景を知りたい方も充分楽しめるようになっていて良いです。キャラクターたちの掛け合いが面白く、てんぽもの良さも相まってとても読みやすくて良いです。

ストーリーも絵も好みです。